自著のご紹介



『銀河鉄道の夜』とは何か 

大和書房 
1989年7月10日
 様々に解釈され得る『銀河鉄道の夜』を、少年期が終わる頃の子どもたちの物語として読み解く試み。科学に目覚める心と、まだ物語を信じている心とのせめぎ合いが、「銀河鉄道」(物語の世界)に乗って宇宙(科学の世界)を旅するという作品に結晶されているというふうに読み解く。「大人」への入り口を前にして、微妙に揺れ動く少年期の心情が、友情や恋愛感情を交えて描かれていると分析。ほかに少年期の終わりを描いた『ピーターパン』『星の王子様』『トロッコ』などの作品との比較も試みる。
―目次―
まえがき

T 『銀河鉄道の夜』とは何か
 1「知る」ことと「信じること」
 2「午后の以-卜」の問い
 3『鹿踊りのはじまり』から
 4ジョバンニとは誰か
 5物語と科学のあいだで
 6「銀河鉄道」の走るところ
 7プリオシン海岸
 8鳥を捕る人
 9「銀河」の二重性
 10リンゴと難破船
 1「天上の死」のイメージー
 11汽車はなぜ「高原」に登ったのか
 12石炭袋-この少年期を越えるところ

U『銀河鉄道の夜』の周辺
 1最初の読後感から
 2「児童文学」の骨格
 3他の児童文学作品との比較
 4批評の周辺

V 賢治童話小論
 1よだかよお前はどこへとびたったのか
 2あとでしかわからないもの
 3将軍の戦った〈敵〉について
 4ホモイはなぜ〈貝の火〉をもらったのか
 5熊はしゃべらなかったかもしれない
 6覚悟について
 7ほんとうのつながりについて
 8雨ニモ負ケズ
 9〈人間〉とは何か
 10無知について
 11名づけられたもの
 12『双子の星』について
 13『どんぐりと山猫』について
 14権力について
 15『水仙月の四日』について
 16〈歌〉のはじまり
 17「雨ニモマケズ」再読
 18わかったようなまたわからないような
 19変わらないものはない

あとがき