自著のご紹介


「食べる」思想
人が食うもの・神が喰うもの

洋泉社
 2010年3月22日

「われ食べる、ゆえにわれあり!」
私たちは「食べる存在」であるから、「われ思う、ゆえにわれあり」ではなく、敢えて、こう言わなければならない。――近代哲学が、意識の外においてきた、「食としての存在」が「私」という存在を根本で支えていることの意味を根源的に問う。いのちと「食」をめぐる問題に一石を投じる問題作!


―目次―
はじめに 「われ食べる、ゆえにわれあり」
     ー「一口サイズ」の問題へー

T 人の食「食べもの」とは何か
 1 「姿」として生きている生き物について
  森崎和江さんの思い
 2 「獲物」としての生き物の全体図について
  「野生」の.次元
  「狩猟」の次元
  「家畜」の次元
  「ペット」「動物園」の次元
 3 「食べる」という過程について
  「おいしい」ということ
  「料理」の次元
  「食事」の次元

U 神の食「供犠」という思考の考え方
 1 「神」とは「喰う神」のことである
 2 マヤ文明の「人身御供」の儀式
 3 キリスト教も「食べる神」をーアンデス山中飛行機墜落遭難者の人肉食事件ー
 4 アイヌの熊送り
 5 中沢新一『熊から王』への違和感
 6 「アブラハムとイサク献供物語」への違和嘱
 7 『金枝篇」の「王の息子の供犠」の話
 8 「食べもの」と「言葉」、「食べる神」と「話す神」
 9 子どもを食べるー原ひろ子『ヘヤー・インディアンとその世界』ー
 10 レヴィ・ストロースからの警告

V 吉本隆明の「食」への思いについて
 1 味わい深い吉本隆明の『食べもの探訪記』
 2 フォイエルバッハ「人間は彼がたべるところのものである」
 3 「すごい食べもの」について
 4 『アフリカ的段階について』と「人間を食べる」話
 5 「臓器移植」と「人食い」のイメージ

W 宮澤賢治と「食べる」童話

 1 『蜘妹となめくぢと狸』
  保阪嘉内への手紙
 『蜘蛛となめくぢと狸』
 2 『注文の多い料理店』
 3 『なめとこ山の熊』
  「熊の言葉」を聞くとはどういうことなのか
  最後のシーン

V 「カニバリズム」批判
 1 映画「ハンニバル』
 2 映画『エイリアン』
 3 ゴヤ『わが子を喰うサトゥルヌス』
 4 絵本『おおきな木』
 5 童話「赤頭巾ちゃん」

Y 人を食べる「絵本」の怖さと楽しさ
    ー「混合生物」小論ー
 1 「おさんぽ」する絵本の楽しさと怖さ
  「混合の生物」と「現実の動物」
  『ぞうくんのさんぽ』
  『ロージーのおさんぽ』
  『もりのなか』
  『おなかのすくさんぽ』
  『ちびくろさんぼのおはなし』
 2 「食べる絵本」の楽しさと怖さ
  『ぐりとぐら」ー肉食をする「ぐり」と「ぐら」ー
  『きょうはこどもをたべてやる!』ーパナナを食べさせられるワニの子ー
  『はらぺこおなべ』ー動物を食べるおなべの話
  『おなかのかわ』ー人間を食べる猫の話ー

Z 鳥山敏子の「にわとりを殺して食べる授業」批判
 1 「にわとりを殺して食べる」授業は何を教えていたのか
 2 「殺す」という言葉は正当か
 3 文化としての「獲る」「料理」「食事」の区別
 4 何を考えなければならないのか
 5 授業を受けた生徒の卒業後の記憶
 6 「いのちの韓さ」を学墓教育のあり方

あとがき