「あなた」の哲学 講談社 2010年1月20日 |
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この本はおそらく日本ではじめての「あなた」論である。日本語で書かれた「あなた」についてのたぶん唯一の、十分に考えられた考察である。 くり返し述べてきたように、日本の思想史には、「あなた」についての考察はなかった。あるのは「わたし」論や、「他者」論ばかりだった。なぜ「あなた」についての考察がなかったのか。日本の思想界には、この「あなた」論がないことを不思議に思うことすらなかったのではないか。哲学や倫理学や社会学や精神医学の長い歴史のなかで、その学会誌に「あなた」がテーマになったことが一度もないことも奇妙だが、その「ない」こと自体に関心が向けられてこなかったことも妙なことだった。――「あとがき」より |
―目次― |
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