自著のご紹介


初期 心的現象の世界
理解のおくれの本質を考える―

洋泉社
 2007年8月20日

20代に心身障害施設で〈ちえおくれ〉〈自閉症〉と呼ばれる子どもと出会う。その子どもたちを前にして何とか理解したいと考えた。発達心理学や障害心理学などを借りて理解しようとするが、かいもく理解する手立てがなかった。それなら、自力で自前の論理をつくらねばならぬ、それも〈症状〉としてではなく〈心的現象〉として理解する道を

自分を理解するように子どもたちを理解する視点から「客観―科学」の一面性を突き破ろうとする出発点となった作品の復刊。

―目次―
はしがき


第一部 予備考察

 T 方法としての〈弛緩〉

  一 ひとつの体験
  二 観念への還元と身体への還元
  三 区別の世界と融合の世界
  四 〈ちえ〉の究極の主題


 U 心的現象総体への視点

   一 〈類―主観〉の素描
   二 〈心的根源の二重性〉あるいは〈気〉について
   三 〈類―主観〉の構造
   四 〈類―主観〉〈対偶〉としての心的現象総体



第二部 初期心的現象の世界

 T 初期とは何か

  一 変容と発達
  二 〈初期〉とは何か
  三 〈幼児〉とは何か
  四 年齢について
  五 年齢区分について


 U 初期心的現象の変容と発達

 T 乳児期

  一 〈類〉の発現の時期 (0−6ヶ月)
   二 〈主観〉の発現 (6ヶ月−12ヶ月)
   三 〈類―主観〉の統一 (12ヶ月−1歳半)
  

 U 幼児期

   一 〈主観内自己〉の自覚 (1歳半−2歳半)
   二 〈類内共同性〉の自覚 (2歳半−4歳半)
   三 〈共同性(規範)―主観性(自己)〉の統一 (4歳半−6歳半)


 V 理解のおくれの本質

  一 心的現象総体からの視点
  二 三つの理念型
  三 〈理解のおくれ〉の本質
  四 発達の中の変化
  五 ことばのおくれの二様態



あとがき

新書版のためのあとがき

解説 人間洞察に富む心的世界の原理的把握 吉本隆明