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13歳論 ―子どもと大人の「境界」はどこにあるのか

洋泉社 
1999年 2月26日
 中学生による凶悪犯罪が社会問題になる中で、少年法や命の教育の見直しが主張され出してきている。しかし、そういうことが問題なのかを問い直す論考。世界の文豪は13歳で大人のように活動する主人公をたくさん描いてきた。古代や中世の歴史の中でも、13歳に成人式を設定し、大人になることを共同体の大きな事業にしてきた。しかし今日大人になることは、あまりに後ろに設定されすぎているのではないか。13歳の力をもっと見直してもいいのではないか。来るべき21世紀の大人と子どもの境界を問い直す。
―目次―
はじめに

第一部 「13歳」の物語史
 1 「13歳」の発見 ― 『午後の曳航』
 2 「命」を張る ― 「安寿と厨子王」考
 3 「二股を掛ける」ことへの目覚め ―『たけくらべ』
 4 言いなりになるということ ― 『少年』『小さな王国』
 5 仕返しの心 ― 『幼年時代』
 6 ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団 ― 『怪人二十面相』
 7 名前を捨てて下さい ― 『ロミオとジュリエット』
 8 現代のニンフ考 ― 『ロリータ』
 9 「自治」を生きる少年たち ― 『十五少年漂流記』
 10 なぜ「20歳」なのか ― 中間報告をかねて
 11 「入れ替わり」へのこだわり ― 『ハックルベリィ・フィンの冒険』
 12 「13歳の日記」 ― 『アンネの日記』
 13 二度と来ない夏 ― 『十三歳の夏』
 14 ガキの時代はもう終わったんだよ ― 『十四歳―Fight』
 15 ママを捨てる ― 『ホットロード』
 16 ダブルになる ― 『ぼくと〈ジョージ〉』
 17 影との出会い ― 『ゲド戦記』

第二部 はじまりとしての「13歳」
T 13歳の力
 1 なぜ「13歳」が問題視されなくてはならないのか
 2 「境界」を越える儀式としての「通過儀礼」
 3 「暦」のなかの「13歳」
 4 「13」の位置
 5 現代史の中の「13歳」

U 来るべき「大人」のイメージのほうへ
 1 「考え方」の問題
 2 『モラトリアム人間の時代』批判
 3 「大人」としての「君子」考 ― 『論語』を読み直す

V 10歳の悲しみ
 『マー先のバカ』論

W 「酒鬼薔薇聖斗」論
 1 14歳の「犯行声明文」を読む ― 神戸小学生殺害事件について
 2 「神の声」と14歳 ― 神戸小学生殺害事件再考
 3 「懲役13年」を読む

X いじめについて
 1 「グループ」の出現 ― 『デミアン』第一章の問題から
 2 「法」の出現、「権力」の起源 ― 「同意の構造」について
 3 「大河内清輝君いじめ自殺事件」の考察
 4 パシリ(使い走り)という行動
 5 いじめの対策

あとがき